2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

絲山秋子の滑らかさ/『沖で待つ』

沖で待つ作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/02/23メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 74回この商品を含むブログ (251件) を見るある程度の物語の流れと、構造まで言及しないと、一側面でしかこの小説について書けないので、以下からネ…

文体について

難しい問題ですが、敢えて触れます。 文体を模倣すると、展開までトレースしてしまう。これはかなり重要なことではないか。こと、というと核心が見えてこないから、ここでは敢えて問題といってもいい。文章を書く際に文体を模倣すると、展開までトレースして…

バトントン

id:ryotoさんからバトンをいただきました。1.好きな音楽ジャンルは?(複数でも○) クラシックとジャズを少々です。2.そのジャンルで好きなアーティストは?(3個くらい) 特に思い入れがあるのは、ブラームスです。(というか文学好きのひとって、ブラーム…

入浴時の出来事

風呂に入って、湯船に沈んだ足先をじっと見つめていると、もっと近くで見てみたいような気がした。足首を掴んでから、顔の前に近づけてみた。随分と変な形だと思い、そのなかでも、特に一番大きな親指が変だと思った。横から見ると、茹でた空豆にも似ている…

自意識過剰と演技/『セックスと嘘とビデオテープ』

セックスと嘘とビデオテープ [DVD]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日: 2006/02/01メディア: DVD クリック: 6回この商品を含むブログ (12件) を見る 扱ったのは無意識で、それが矛盾に顕われる。 「最近、夫に触られるのがいや…

──追記──

いや、すぐに気が付いたけれど『宗教家を描いた小説であるか、宗教家が描いた小説であるかの違い』というのは、そんなはっきりとしたものではなく、極論してしまうと、結局は個人の嗜好の問題になってしまいそうだけれど、敢えて踏みとどまって考え続けて、…

綿矢りさから感じる恥ずかしさ/『You can keep it.』

インストールをようやく買って読めた。といってもタイトルの方はまだで、おまけのように付いている『You can keep it.』から読んだ。インストールのはじめの二、三ページだけを読んだのだけれど、よくこれで新人賞の予選を通過したなと思った(作品とは別の…

客観的に駄文を救う(了)  

愛は駄文を救うか

愛というのは文章に対する愛ではなく、どうしようもない駄文を書いてしまった自分を擁護したい、自己愛で、駄文というのは、昨日の日記のような、どうしようもない文章だ。もう、ほんとうに、どうしようもなくて、情けない。感傷というものには、気をつけな…

華麗に感傷的な平日 

ねえ、あのさ、近くにイタリア料理できたんだけど。というので、こちらから誘った。携帯電話の向こうで、長い沈黙があった。明け方近くで、新聞配達の音が聴こえて、雨が降っていた。 翌日、本屋で待ち合わせをして、店に向かった。ぼくの方がより待たせたが…